プログラミング教育とは?その背景や目的を解説します

2018.6.8

近年なにかとニュースで話題の「プログラミング教育」。文部科学省は2020年度から、全ての小学校において、”プログラミング教育の必修化”を検討しています。では、そんなプログラミング教育とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。今回は、プログラミング教育の中身について、また、教育現場で必修化が求められている背景や目的などについて考察していきます。

プログラミング教育とは何か?

プログラミング教育とは、簡潔に言うと「コンピュータに動きを指示するために使われるプログラムを学ぶ教育」のことです。ただ単に技術を学ぶだけでなく、自分が求めることを実現するために必要な動作や記号を考え、組み合わせながら改善していく、論理的なプログラミング的思考を育むことが狙いとされています。

ICT教育との違い

プログラミング教育の実施を行うにあたり、導入が必要不可欠であると言われているのがICT教育です。ICT(Information and Communication Technology: 情報通信技術)教育は、情報端末を通じて教師と生徒のコミュニケーションを円滑に図り、生徒の学習意欲に寄与することを目的とした教育です。教師が多数の生徒に向けて一斉に指導する”一斉学習”や、個々の習熟度に応じて学習する”個別学習”ではなく、ICT教育では”協働学習”というスタイルが生まれることになります。

協働学習は、情報端末を用いてグループで意見や考えを共有し、話し合いを通じて思考を深めていく学習スタイルです。これからの社会で必要とされる表現力やコミュニケーション能力などの育成が期待されている新たな学習スタイルとして確立されています。

なぜプログラミング教育は必要なのか?

これまで・これからの10年

Facebook, YouTube, Twitter, iPhone, LINEなど、いずれもこの約10年で誕生および普及したものであり、ここ10年で時価総額成長率で全セクター45%に対し、ITセクターは128%。IT業界はおよそ3倍の成長率を見せています。

また、これからの向こう10年間においては、トヨタ自動車が2020年に全自動運転者の市場販売を行ったり、サッカー岡田監督のチーム・FC今治でもITを駆使したり、回転寿司店ではICチップやビックデータ解析で10分後に握るネタを決定し廃棄を減少させたりと、本来IT分野ではない業界でIT化が積極的に活用されるようになります。

IT産業の黎明期ともいえる世の中において、プログラミング教育は未来の時代を背負う子どもたちにはもはや必要不可欠な存在であり、世界に通じたグローバル環境の中でも、プログラミング教育の重要性は際立っています。

新しい教育のあり方

これまでの教育現場では、テストで点数を取ることが優先されてきた風潮が強く、いわゆり学歴至上主義とも言える価値観に重きを置かれていました。しかし、雇用が流動化してグローバル化に変容している昨今、そうした従来の価値観は揺るいでおり、テストの点数よりも実践的な論理的思考や自己表現力が求められています。

問題解決のために自分の意図する処理を論理的に組み立て、自分の手で実際に表すプログラミング教育では、そうした能力を伸ばすことに向いています。プログラミング教育の普及に伴う背景には、こうした子どもの将来を気遣った新しい考え方が関わっているようです。

新たなキャリアを切り開く

上記のような背景を踏まえ、今後はまだまだプログラマーの市場価値が高まっていくと予想されます。現在、世界的にプログラマーは不足傾向にあり、売り手市場が続いています。そのため、プログラミングを学ぶことは、キャリア形成において自身の可能性を大きく拡大してくれます。

エンジニア不足

また、日本では情報エンジニアが不足し、このまま行くと将来的に世界から取り残されてしまうという危機感があるため、それが義務教育でのプログラミング教育の必修化政策につながっているとも言われています。ただし、IT業界におけるエンジニア不足を補うことが、プログラミング教育を必修化させる主要目的ではありません。

プログラミング教育を行う目的

プログラミング言語の学習ではない!

プログラミング教育は、子どもたちにコンピュータに意図した処理を行うよう指示できることを体験しながら、将来どのような職業に就いても、時代を超えて普遍的に求められる力である”論理的思考”を育むことがゴールであり、とりわけプログラミング言語を覚えることが目的ではありません。

コンピュータの社会的役割を理解する

ネット社会と言われる昨今、コンピュータが社会と人々の生活において、どのような役割を担っているかを理解することも、プログラミング教育導入の目的のひとつです。また、コンピュータの”利用者”ではなく”作成者”としての視点を持つことも求められています。

海外におけるプログラミング教育

ハンガリー

ハンガリーでは、「Informatika」というプログラミングやICTを活用した授業が2003年から導入され、必修科目となっています。日本の小学校低学年にあたる初等教育でICTリテラシーを中心とした授業が、日本の小学校高学年から中学生にあたる中等教育でプログラミングを中心とした授業が実施されています。

ロシア

ロシアは2008年のリーマンショック以降、国家的プロジェクト「スコルコヴォ計画」を行っており、医療・エネルギー効率・核エネルギー・宇宙通信・ITといった近代化優先5分野にまつわるベンチャー育成を目指していることから、IT教育が重要だと謳われています。2009年から初等教育で、2010年から中等教育でプログラミング教育を含む「インフォマルティカとICT」の必修化が開始されています。

エストニア

バルト三国の一番上にあるエストニアは、世界で多くの人が利用しているSkype発祥の地で、IT先進国としても知られています。公的機関においてもオンラインを広く活用しており、2012年にはプログラミング教育推進プログラムが開始され、すべての小学校で義務化されているわけではありませんが、小学校1年生からプログラミング教育を受けることが可能です。

フィンランド

フィンランドでは、国民の権利として「インターネットに接続する権利」を国が保証するというほど、ITに力を入れている国です。プログラミング教育は、2016年から小学校での必修化がされており、ビジュアルプログラミングを取り入れた授業が行われています。

アメリカ

アメリカでは、州や学校によってさまざまで、ほとんどの学校でコンピュータサイエンスとしてプログラミングの授業が取り入れられていますが、必修化はされておらず、選択科目として学べるようになっています。

2011年にオバマ大統領(当時)が一般教説演説において、アメリカの数学・科学教育の質が他の国から遅れを取っていると危惧したことにより、同国における数学イノベーションは現在ますます進んでいます。近い将来、日本同様、プログラミング教育が必修化されるのではと予想されています。

韓国

お隣・韓国では、現段階では日本と同じくプログラミング教育の必修化は実施されていませんが、アジアで最も早いうちからコンピュータ教育の必要性を提唱し、その導入を行ってきた国のひとつです。プログラミング教育は2007年から選択科目として導入されており、ICTリテラシーは必修科目として初等教育から実施されています。

まとめ

さて、今回はプログラミング教育について考察しました。

プログラミング教育の必修化に加え、社会全体でコンピュータがますます普及&発展していき、プログラム言語が日常生活には欠かせない基礎知識のメーンとなるでしょう。小さいお子さんをお持ちの方は、今のうちからプログラミング教育に励んでみるのも良いのではないでしょうか。

embotについて詳しくみる

関連記事