embotのサーボモーターを使ってプログラミングし、その動きから発想した造形物を作っていく東金町小学校2年生の図工の授業。今回の授業は山内先生が出張授業を行いました。
サーボモーターの動きから、子どもたちが思いつく発想は、まさにアイディアの宝庫です。作りたいものを思い描き、作業する子どもたちの眼差しは、真剣そのもの。友達同士で、教え合ったり褒め合う姿もたくさん見られました。
山内先生の授業には、子どもたちが夢中になる、たくさんの工夫があります。
「皆さんは、サーボモーター研究所の研究員です。」という山内先生の投げかけから始まった授業の様子をレポートいたします。
授業者:山内佑輔先生(新渡戸文化小学校) 実施日:2021年2月19日
embotのプログラミングを活用して、造形的な見方や考え方を働かせられるようにするのがねらい。
180度の範囲で動くサーボモーターの動きをプログラミングし、その動きから、子どもたち自ら、色々なものをイメージし発想していきます。そして動きから発想したものを、好きな色や形の紙、素材をくみあわせて自分なりに表現します。
表現活動を通して、同じ動きを見ても人によって思いつくものが違うことを感じ、お互いの表現を楽しむ活動になります。
山内先生:みなさん、今日は会えて嬉しいです。
ここは図工室ですけど、今日だけ名前をかえます。ここは「サーボモーター研究所」です。
みんなの手元にあるものがサーボモーターと言われるものです。
今日は、みなさんにサーボモーター研究所の研究員になってもらいます!
今回の授業ではembotのコアとサーボモータのみ利用して、授業を実施していきます。
先生:タブレットから指示を出すと、サーボモーターの白い腕のような2本の棒が、グイングインと180度回転して動きます。
embotのサーボモーター。プログラミングすると白い腕が、グイングインという音とともに180度回転する。
先生:今日は、このサーボモーターを動かしてみて、みなさんに研究をしてもらいたいと思います。
そして最後に研究発表ができたらいいなと思います。
では、embotのスイッチを入れて、さっそくサーボモーターを動かしてみましょう!
ブロックには動きが4種類あるので、色々ためしてみましょう。
子どもたち:うわ!おもしろい!動いた!!
embotのサーボは角度を指定して動かせるだけでなく、『アニメーションのように動かす』というあらかじめサーボの動きかたが決められているブロックもあるので、低学年でも簡単にサーボモーターを動かせるのは、embotの良さです。
(子どもたちは、「全部つなげてみた!」 「すごい!」「このブロックだとこんな動きになる!」など班の友達と確認し合いながら、大盛りあがりです。)
先生:さらに研究に進んでいきたいと思います。これから僕がするのは、正解がない質問です。ですのでアイディアをたくさん、出してくださいね!
僕が質問したいのは、「この動きは何に見える?」です。
4人のチームで、この動きが何にみえるか話してみて、たくさんアイディアを出してみてくださいね!
子どもたち:鳥!バイバイ! ダンボールを開けているみたい。ドローンみたいに見える!
(子どもたちから出たたくさんのアイディアが、黒板いっぱいに書き出されます )
子どもたちが、サーボモーターの動きから発想したアイディア
先生:鳥、バイバイ、ダンボールを開ける様子、うちわであおいでいる、ドローン、魚釣りなどアイディアをたくさん出してくれましたね。
先生:では、いよいよ研究の一番メインにいきたいと思います。これから取り組んで欲しいことをいいますね。
今から、出す材料と、サーボモーターとさっきみんなで考えたアイディアを組み合わせて、他の人を「お~それすごい!とおどろかせる」ものを作ってみましょう。
そして、みんなで「あ~、楽しいなぁ」と思える時間を作っていきたいと思います。
今日は特別な材料を用意しました!
作るときのアイディアのタネは、「何に見える?」ですよ。さぁ、やってみましょう!
(両面色が違うカラフルな厚紙、ストロー、マッチ棒、メンディングテープ、丸いテープなどが広げられる)
子ども:オレは、ドローンを作りたい!
子どもたちはじっくりと考えながらも、自分の作りたいものを表現していました。取り組む姿は真剣そのもの。次々と、必要な材料を選びながら形にしていきます。なかなかイメージも湧かない子がいましたが、先生たちが声をかけ、一緒に相談をしながら進めていきました。
サーボモーターの腕に、ストローをつけると動きを大きく見せられると気がつく子。サーボモーターにマラカスを持たせて振らせてみる子、などなど。活動の中で、幾つものアッとおどろく、アイディアにあふれた作品が生まれました。
●ダンボールの開けしめを、サーボモーターで再現。
●荷物を運ぶドローン
●不思議な足の動きをする虫
●スタートからゴールまでボールをながす滑り台
●サーボモーターの動きで髪が優雅に動く、くま
先生:時間ギリギリまで、たくさんのアイディアがみられて、僕はとっても楽しかったです。
最後に、お友達のロボットを見て回って、このロボットの動きがみてみたいなと思うものを選んでみましょう。
(教室の中で、お友達のロボットを見て回る時間)
(ここで、子どもが選んだ作品の中で、2つの作品の動きをモニターで確認します。)
(子どもたちは、お~!と驚いたり、動きをみて、笑ったりしています。)
先生:とっても立体的な動きでした!そして、もう一つは、2つの腕を紙でつないで「クシャクシャッ」となる面白い動きでしたね!
伝えたいことが1つだけあります。
今日、皆で目指したかったことは「自分であっとひらめくこと」そして「他の人を、わぁと驚かせること」そして、「皆で面白がること」です。これができていれば100点満点です。
先生:もしかしたら、最後、自分の作ったものがうまく動かなかったり、こわれてしまったりした人がいたかもしれないけど、この図工の時間で、ひらめくこと、驚かせること、面白がることができたら、良かったなと思っています。
「自分でひらめくことができた人!」
(子どもたち、元気よく手を挙げています。)
先生:素晴らしい!「誰かを驚かせる事ができた人」、これはみんな手を上げていいです。みんな驚いているしね。最後「みんなで面白がることができた人」
(手を挙げる子どもたち)
先生:今日は他の人の作品を見て、「それすごいね!」とか「すてきだね!」という言葉がたくさん聞こえたので素敵だなと思いました。アイディアがおもしろくて、素晴らしい時間だったなと思います。
たっぷり試行錯誤ができた2時間。アイディアをひらめき、それに向かって作品を仕上げていこうとする子どもたちは真剣そのもの。プログラミングと造形を通して、たくさん驚いて面白がる時間になりました。