まるでゲームしているみたい! 子ども向けプログラミング言語「Scratch」とは
2020年度から小学校でプログラミング教育が必修化されるのに伴い、現在さまざまなプログラミング言語が注目されています。中でも、子ども向けのプログラミング言語「Scratch」(スクラッチ)は、初心者でも分かりやすく簡単に使用できることから特に人気が高いようです。一体どのようなプログラミング言語なのでしょうか。早速見ていきましょう。
Scratchとは
Scratchは、プログラムをテキストで記述するのではなく、視覚的なオブジェクトでプログラミングを行う”ビジュアルプログラミング言語”の一つです。世界中からさまざまなアイデアが寄せられており、2018年6月現在、32,379,891 プロジェクトが共有されているクリエイティブ・ラーニング・コミュニティとなっています。
プログラミングと聞くと、黒い画面に英語の文字が連なっている印象を持つ人が多いと思いますが、Scratch(ビジュアルプログラミング言語)は、プログラミングに関する難しい知識を必要とせず、直感的に覚えることができます。
マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボのライフロング・キンダーガーテングループによって開発され、用途を問わず無償で使用することができます。
Scratchでできること
Scratchを使えば、自由にインタラクティブストーリーやゲーム、アニメーションを製作することができます。さらに、完成した作品はオンラインコミュニティで他人と共有でき、若者たちがクリエイティブに考え、体系的に判断し、協調して活動できる環境となっています。
Scratchの始め方・使い方
Scratchを始めるには、面倒なインストールや利用登録などは一切不要であり、パソコンさえあれば初心者でも簡単に使用できます。
まず、下記のScratchのサイトにアクセスし、画面左上のかわいい猫の絵が描いてある「やってみよう」という部分をクリックします。https://scratch.mit.edu/
Scratchを始める際の手順はたったこれだけです。子ども向けということもあって、シンプルすぎるくらい簡単に使えます。また、オフラインで使用したい方は、ダウンロードして使える”オフラインエディター”というものもあるので、そちらもご参照ください。https://scratch.mit.edu/download
Scratchの特徴
無料で使える
先に述べた通り、ScratchはMITによって無償で提供されているため、誰でも無料で使用することができます。ゲームやアニメを製作するのも、それを世界中に公開するのもすべて無料です。
幅広い年齢層に受け入れられる
Scratchは、子ども向けのプログラミング言語であるため、対象年齢は8歳~16歳と言われていますが、教育現場においては子どもから大人まで使用し、社会学や数学、天文学などの教科学習でも使われています。また、博物館、図書館、美術館といった場所においても、幅広い年齢層の方々に受け入れられています。
日本語対応
アメリカで開発されたScratchは、英語をはじめ40以上の言語に翻訳されており、世界150カ国に向けたさまざまな言語でも使用が可能となっています。もちろん日本語版にも対応していて、ひらがな表示もできるため、漢字を覚える前の小さなお子さんでも安心して使えます。
世界的に注目されている
プログラミング言語人気ランキング「TIOBE Index」によると、2016年10月には23位だったScratchが、2017年2月には20位に、2017年10月には14位まで上昇しています。近年着々と人気を集めているScratchは、現在世界的に注目を集めているプログラミング言語の一つです。
Scratchの開発環境
プロジェクト作成画面には、プロジェクトを作る場所と、プロジェクトを実行する場所の2つがあります。
プロジェクトを作る
プロジェクトを作る場所は、 スクリプトエディター・ペイントエディター・サウンドエディターという3つのエディターによって構成されています。
スクリプトエディター
まず、スクリプトエディターについて紹介します。12個のカテゴリに分類されるさまざまなブロックをつなぎ合わせたものを「スクリプト」と呼び、スクリプトを作ることによって、絵(スプライト)や背景に動きをつけられます。
ペイントエディター
つぎに、ペイントエディターは、作品の中で動かすスプライトや背景を作れる画像編集ソフトです。 一般的な画像編集ソフトのように、マウスで自由に絵を描くだけで、作品の中で活用できる素材を簡単に作ることができます。
サウンドエディター
3つ目は、サウンドエディターといって、作品の中で鳴らす音を作れる編集ソフトです。 自分の声や音を録音したり、パソコンに入っている音楽ファイルを取り込んだりできるので、手軽に音をつけることができます。
プロジェクトを実行する
ステージエリア
作成されたプロジェクトを実行する場所を「ステージエリア」と呼びます。Scratchを起動した際、スクラッチキャットが現れる画面左上のエリアのことを指し、プロジェクトを作る際には、常にこの画面で動きを確認しながら、プログラミングを進めていきます。
Scratchを学習できるサイト
では、そんなScratchを学習できる国内サイトについて紹介していきます。
Scratch webサイト
Scratchの公式サイト上に「Scratch Wiki」という項目があり、Scratchの基本情報、スプライトの基本的な動かし方をはじめ、ゲームや物語の作り方がわかるチュートリアルビデオが無料で公開されています。 下記のURLには”日本語で”分かりやすく説明されているため、初心者の方はまずこのページをご覧になってください。https://ja.scratch-wiki.info/wiki/
NHK『ワイワイプログラミング』サイト
NHKのサイト『ワイワイプログラミング』では、Scratchを学べるコンテンツがたくさん用意されています。小学生から高校生までを対象としていますが、見た目も楽しく誰でも簡単にできるため、特に初めて使用される方にはおすすめです。http://www.nhk.or.jp/school/
Hello Scratch
動画でScrathが学べる「Hello Scratch」。Scratchはビジュアルプログラミングなので、ほとんどがマウス操作です。そのため、静止画とテキストだけの解説だと少し理解しにくい場合があります。Hello Scratchは、動画を使って説明しており、操作手順やアカウント取得方法など、動画と併せて画像とテキストの解説が用意されているので、非常に分かりやすくなっています。http://scratchfan.net/
Scratchで作られたゲーム
ねこ逃げゲーム
Scratchの代表的なゲームといえば「ねこ逃げゲーム」です。スタートボタンの緑旗マークを押すと、スクラッチキャットがランダムに動き周ります。トラックパッドやマウスでネズミを動かしてネコから逃げる、とてもシンプルなゲームです。https://scratch.mit.edu/projects/57827110/
スペース・インベーダー
1978年に流行した昔懐かしいスペース・インベーダー。十字キーで自機を動かしながら、ランダムに迫ってくる敵機をかわしたりミサイルを発射したりするゲームです。https://scratch.mit.edu/projects/
マリオ
ファミコンの代表作とも言える『スーパーマリオブラザーズ』もScratchで楽しめます。ゲームは2種類存在し、一つはスーパーファミコン時代の画質をモチーフとしたもの、もう一つはDSやWiiなどのデジタル画質を採用したものとなっています。どちらも音・ビジュアルともにかなりの再現性です。https://scratch.mit.edu/studios/
大乱闘スマッシュブラザーズ
マリオを製作するだけでもかなり凄いですが、Scratchを使って『大乱闘スマッシュブラザーズ』までも製作した方がいます。https://scratch.mit.edu/projects/
まとめ
Scratchは、教育研究機関が開発した子ども向けのプログラミング言語であり、使いやすさはもちろん、教育的効果の面でも非常に優れた設計となっています。
年代や目的を問わず、一度触れてみるとハマること間違いありません。お子さんをお持ちの方は親子で一緒に遊んでみるのもありかと思います。無料で使えるので、ぜひこの機会に使用してみてください。
『Scratch』公式サイト→https://scratch.mit.edu/