実施日:2023年9月11, 25日
埼玉県立越谷西特別支援学校
佐藤 裕理先生
埼玉県立越谷西特別支援学校
櫻井 覇先生
embotの腕パーツ(サーボモーター)を使い、ピンボールのフリッパーの動きをプログラミングで再現しました。活動グループが「ゲームコース」と言い、ICTを活用してプログラミングやゲーム作りに取り組んでいるため、embotを活用したオリジナルゲーム作りに取り組みました。これまでは一番優しいLv.1よりも簡単な前後左右の動きを制御するプログラミングに取り組んできたため、embotを通して少し難しいプログラミングを作る経験と、自分が作ったプログラムが正しく動く経験を通し、成功体験を増やし興味関心の幅を広げることを目的としました。
事前に子供たちが気になってしまうケーブルや端子を全て外し、活動に集中できる環境にしました。どのブロックを選んでどう入力するかわかるように、実際の操作画面をスクリーンショットし、解説スライドと紙の資料を用意しました。解説スライドではどのプログラムがどの動きにつながっているかが分かるよう、アニメーションを設定しました。筐体は段ボールで作るため、子供たちが時間内に組み立てられるよう寸法を合わせて切り取ったり、曲げやすいよう切れ目を入れるなどしました。
5グループで5つのピンボール台作りに取り組みました。1チーム3~4人で構成され、代表1名がembotのプログラム作り、残りのメンバーが筐体つくりに取り組みました。プログラムチームはこちらの説明を聞いたり完成図とどのタブに必要なブロックがあるか解説されている紙の資料を見たりし、各々のペースで取り組みました。実態差はあるものの、どの生徒も「これでいいですか?」と確認を取りつつ正しくプログラムを作ることが出来ました。筐体つくりチームは段ボールを組み立て、①3か所穴を空ける場所を決める(穴は入りにくい順に5点、3点、1点を設定する)、②一番奥の穴に落ちるように、補助教材を使ってフリッパーの位置を決める(別付資料参照)、③筐体に自由に絵を描く、の流れで取り組みました。筐体の隅はボールが溜まらないよう、爪楊枝でカーブをつける(別付資料参照)、④プログラムしたサーボモーターを取り付けて、動作するかチェックする、までの流れで活動に取り組みました。
前回作成した筐体で遊びました。5台の筐体をローテーションで体験し、最後に感想発表を行いました。遊ぶ際は、5本の鉛筆を使い、できるだけ5点の穴に入るように、またはどこかの穴に入るように筐体に刺してコースを作りました。iPadのembotのプログラミング画面を開いて筐体の下に差し込むことで、ボールに丁度よく勢いがつく傾斜がつき、かつ生徒たちは誤ってプログラム部分に触れて正常に動作しないなどのトラブルを防いでスムーズに操作することができました。
embotのようなプログラミングは今まで取り組んでこなかったでの恐る恐る操作していましたが、うまく動作すると達成感を感じる表情が見られました。得意な生徒は紙の資料だけでできてしまったので、難易度を分けても良いと感じました。ピンボールを実際に遊んだことがない生徒たちも多かったため、筐体作りの段階では何を作っているのかイメージしきれていない生徒もいましたが、実際に遊ぶ際は関心を持って集中して取り組む様子が見られました。5本しかない鉛筆をどう刺すかを教員と相談し、1回目にはうまく機能しかなった鉛筆を別の場所に刺して調整するなど、こちらもプログラミング的思考を巡らせながら取り組むことができました。最後に感想アンケートをアプリでとると、どの生徒も「楽しかった」を選択していました。
これまで取り組んできたプログラミングロボットはそれ単体で遊ぶことができましたが、今回はアナログとデジタルな活動を混ぜて、よりクリエイティブな学習活動に取り組むことができました。全ての生徒がプログラミングできるわけではない(数字を未修得の生徒もいるため、正しく入力できない生徒もいます)ため、アナログな活動を混ぜながら取り組むことで、どの生徒もゲーム作りに参加することができました。